低体温を伴う心停止のpH、乳酸の予後予測性能の論文を大学院生の岡田 遥平さんがPublishしました。
古くから低体温を伴う心停止をみたら、 “No one is dead until warm and dead”といわれ、復温して蘇生を適応すべきと教科書にはかいています。しかし登山中の若者ならいざ知らず、高齢社会の日本では、低体温を伴う心停止に全例ECMOを用いるのも現実的ではありません。病院搬入早期に予後の予測ができればと思い、低体温を伴う心停止のpH、乳酸の予後予測性能を調べてみました。
対象:754人の32度以下の低体温を呈した心停止
Index test: 初回のpH、乳酸
Target condition: 30日生存
アウトカム:予測性能
AUC[95%CI]は pH 0.829 [0.767–0.877]乳酸 0.843[0.793–0.882] でした。
カットオフをpH6.9、乳酸120mg/dに設定すると、陰性尤度比は0.13-0.14で、pH<6.9または乳酸<120mg/dであれば30日生存は1%未満(陰性的中率)となります。血清Kも同様の結果となります。
予測性能研究としてデザインされたコホートではないので、数々の限界はあるものの、現時点ではほとんど症例集積研究しかない低体温を伴う心停止の意思決定の参考にはなるかと思います。